相撲のぼり旗の基礎知識やルールを解説!購入方法も紹介します

相撲のぼり旗は大相撲の会場周辺に立ち並ぶ色鮮やかな旗です。興行を盛り上げるだけでなく、力士の健闘を願う縁起物としても親しまれています。江戸時代から続く伝統があり、デザインや作成には特定のルールがあるのが特徴です。
相撲用のぼりを制作してみたいと考えている方の中には、作成のポイントや決まりを知りたいと思う方もいるでしょう。この記事では、相撲のぼり旗の歴史や特徴、制作のルールを詳しく解説します。実際の購入方法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
江戸時代から存在していた相撲のぼり旗の歴史

大相撲の会場周辺に立つ大きなのぼり旗は「相撲のぼり旗」と呼ばれ、日本の伝統的な風物詩のひとつです。「興行のぼり旗」と呼ばれることもあり、会場の雰囲気を盛り上げるとともに、宣伝や観客を引き寄せる役割を果たします。また、力士の活躍を願う「縁起物」としても重要視され、色鮮やかに飾られます。
その歴史は江戸時代に遡り、当時は「相撲旗」と呼ばれていたようです。特に、寺社の修繕費を集める目的で行われた「勧進相撲」では、のぼり旗が開催の目印となったといわれています。この相撲興行が庶民の娯楽として定着し、祭りの際には華やかな相撲のぼり旗が掲げられました。現在でも、大相撲の巡業地では会場周辺にのぼり旗が立ち並び、開催を告げるとともに独特の雰囲気を演出しています。
相撲のぼり旗の仕様や制作のルールについて
相撲のぼり旗には特定の仕様があり、巡業用サイズは決まっています。制作には日本相撲協会の許可が必要です。また、染色法にも一定の決まりがあり、すべて手作業で作成されます。ここでは、各ルールについて詳しく紹介しますので、ご確認ください。
相撲のぼり旗のサイズは高さ5.4m×幅70cm程度
相撲のぼり旗は、一般的に高さ5.4m、幅70cm〜90cmほどのサイズで作られます。店頭でよく見かける一般的なのぼり旗の高さが1.8mなので、約3倍の高さに相当し、遠くからでも視認しやすい大きさが特徴です。実際に設置すると、2階建ての住宅にも匹敵する高さになるため、会場の目印として大きな役割を果たします。
相撲のぼり旗は竹で作られたポールを使用して立てられ、設置場所によっては高さを調整することもあります。たとえば、電柱などの障害物がある場所では、高さを3m程度に変更するのが一般的です。
一方で、正式な巡業用ののぼり旗でなければ、自由なサイズで相撲関連のさまざまなのぼり旗が作られています。例として、子どもの相撲を応援するためのものや、相撲教室、地域の相撲大会で使用するものなどが挙げられます。
▼個人で制作する相撲関連ののぼり旗の例

これらののぼり旗は、街中で使用される一般的なサイズ(高さ1.8m)や、縦長で小型のものなど、用途に応じたさまざまなサイズで制作できます。
※のぼり旗のデザインはイメージです。当店ではオリジナル印刷のみに対応しており、デザインが完成した既製のぼり旗の取り扱いはございませんので予めご了承ください。
巡業に使う相撲のぼり旗を作るには許可が必要
日本相撲協会主催の巡業において使用される相撲のぼり旗には、協会の許可が必要です。四股名(力士名)が入った興行用ののぼり旗は、相撲協会の許可を得た専門の染業者によって制作される決まりとなっています。そのため、一般の業者では現役力士の名前が入った相撲のぼり旗を制作することはできません。
相撲のぼり旗は職人による手作りで制作される
相撲のぼり旗は、職人の手によって一つひとつ手作りされる伝統的な工芸品です。白い綿生地に文字や絵を手書きし、染料で着色して仕上げるのが決まりです。
まず、生地を固定した後、文字や絵の配置を決める「字割り」を行います。字割りとは、文字や絵のバランスを整えながら配置を決め、目安となる線や枠を描く工程です。字割りの際には、紫色の酸性染料「ヒコ」を使用してラインを描きます。ヒコは水洗いで落とせるため、仕上げの際に不要な線が残ることはありません。
下書きが終わると、染料を用いて色を入れ、染色した生地を水洗いしてから天日干しを行います。これらの工程を経て、鮮やかで迫力のある相撲のぼり旗が完成します。
また、相撲のぼり旗は縁起物であるため、大相撲の各場所ごとに新しいものが作られます。使用済みののぼり旗は、暖簾や半てんなどにリメイクされる場合もあります。
相撲のぼり旗のデザインについて
相撲のぼり旗に使われる色や文字の大きさ、配置などにも細かなルールがあります。以下にデザインの決まりについて詳しく紹介します。
相撲のぼり旗に使う色のルール
相撲のぼり旗に使用される色には、相撲界独自の意味や願いが込められています。たとえば、使用される色には以下のようなルールがあります。
- 黒色:白星(勝ち)と黒星(負け)を連想させるため、力士名には使用しない
- 茶色・水色:勝敗に対して「茶々を入れる」「水を差す」ことを避けるため使用しない
- 赤色:企業が赤字にならないよう、スポンサー名には赤を使わない
これらの色使いは、相撲の勝負や精神に対する深い敬意を表すものです。相撲界の伝統を大切に守るための決まりとして今も受け継がれています。
相撲のぼり旗の文字や配置
相撲のぼり旗では文字の配置や大きさに特別なルールがあり、これには相撲への敬意や願いが込められています。
まず、字の画数に応じて文字の大きさを調整し、上部の文字は大きめに、下部は枠内に収まるように配置します。見上げたとき、どの文字も均等に見えるようにバランスを整えることがポイントになっています。
四股名の下書きには相撲会場の桟敷(さじき)を模したます目が描かれ、文字が隙間なく配置されることで桟敷が満席になるよう願いが込められています。また、四股名は成績向上を祈って、文字が右肩上がりに書かれるのが特徴です。
その他、相撲のぼり旗では、スポンサーの名前より力士の名前が大きく書かれ、軍配には「贈」の文字が入れられます。さらに、相撲が神事であることを象徴するために熨斗を描く場合もあります。
相撲のぼり旗を購入・制作する方法
相撲のぼり旗を制作する場合、日本相撲協会が主催する巡業で使用する力士名が入ったものは、協会の許可が必要です。一般的な印刷業者では制作できないため、巡業用のぼりを作成する際は、日本相撲協会の公式ウェブサイトで相談することが求められます。
一方で、相撲をテーマにした通常ののぼり旗は、オリジナルデザインとして自由に制作可能です。サイズも多様で、一般的なのぼり旗のサイズに加え、最大5.4mの大きいサイズに対応しているところもあります。印刷業者に依頼する際は、どのようなタイプののぼり旗が制作できるかを事前に確認してみましょう。
当店でも、協会主催の巡業先で使用できる相撲のぼり旗の製作は行っておりませんが、個人や地域などで使用するのぼり旗の製作は可能です。WEB上で簡単にオリジナルデザインが作れるサービスも用意しております。個人用に相撲関連ののぼり旗を作りたい方はぜひチェックしてみてください。
のぼり旗のデザインを作ってみるまとめ
相撲のぼり旗は、巡業を華やかに彩り、力士の個性や応援の気持ちを表す大切な存在です。大相撲の会場で使用する場合は日本相撲協会の許可が必要ですが、それ以外の場面で相撲をテーマにした旗を作るのは可能です。
相撲用ののぼりを作るといっても目的によって確認すべきことは変わるので、この記事を参考に日本相撲協会や業者の確認を進めてみてください