スエードとは?混同されやすい素材との違いや手入れ方法を解説!

柔らかい肌触りと上品な光沢が魅力のスエードは、革靴や手袋といったファッション小物を始め、さまざまなシーンで活躍する素材です。
この記事では、スエード素材の概要と、天然素材のスエード・合成繊維で作られたスエードの特徴を解説します。加えて、スエードと混同されやすい素材との違いやスエード生地のお手入れ方法についても紹介しています。スエード素材のアイテムを作りたいと考えている方、スエード素材のアイテムを長く使用したい方は、チェックしてみてください。
目次
スエードとはどのような素材?
スエードとは、なめし加工した皮革の裏側を短く毛羽立たせた生地のことです。革の裏側をやすりやサンドペーパーなどで擦って起毛させる加工方法で、後ほど解説するヌバックやベロアと同じ起毛皮革の一つです。着色しやすくカラーバリエーションが豊富なので、起毛皮革の中でも流通量の多い素材と言えるでしょう。
スエードの由来について解説
スエードの名前の由来には諸説ありますが、フランス語で「スウェーデン産の手袋」を意味する「gants de suede(ガーント・ドゥ・スエード)」がルーツという説が有力です。スウェーデンの加工技術で作られた女性用手袋がフランスで流行したことから、皮革を起毛させる加工技術そのものが「スエード」を意味するようになったと言われています。今では、その加工技術を施した素材そのものをスエードと呼ぶようになったと言われています。
「スエード」は2種類ある?
現在では、動物の革で作られた天然素材のスエードと、ポリエステルなどの合成繊維で作られたスエードが流通しています。それぞれの特徴について、詳しく見ていきましょう。
動物の革で作られたスエードの特徴
動物の革で作られたスエードは、子羊や子牛、子ヤギなどの柔らかい革皮を原料とした生地です。革靴や洋服、手袋などの素材として使われることが多く、使い続けることでその質感や色味に深みが出るため、経年変化を楽しめる生地ともいえるでしょう。
一方で、水に弱かったり合成繊維のスエードと比べて高価だったりといった傾向があるので、お手入れ時には注意が必要です。
合成繊維で作られたスエードの特徴
合成繊維で作られたスエードは、ポリエステルやナイロンなどを原料としており、動物の革で作られたスエードに似せて作られた生地です。天然のスエードと比較して滑らかな質感と上品な光沢があります。
合成繊維で作られたスエードのメリットは、摩擦に強く毛が抜けにくいという点です。
また、合成繊維で作られたスエードは印刷の発色が良いという特徴があります。写真やイラストを綺麗に再現できるので、タペストリーを作成する際によく使われている生地です。特に、ポリエステル素材のスエードは水に強く、お手入れの際に洗濯することも可能です。
一方で、伸縮性や通気性という点では天然のスエードの方に軍配が上がります。また、洗濯に適さない印刷や撥水加工を施している製品もあるため、事前に洗濯タグなどを確認するようにしましょう。
それぞれのスエードの特徴について、以下に表でまとめました。
動物の革のスエード | 合成繊維のスエード | |
原料 | 子羊、子牛、子ヤギなどの革 | ポリエステル、ナイロンなど |
用途 | 靴、手袋、洋服 | タペストリー |
耐水性 | 弱い、基本的に洗濯不可 | 強い、洗濯可能なものもある |
通気性 | よい | 悪い |
摩擦 | 弱い | 強い |
スエードの用途を画像付きで紹介
動物の革を用いたスエードは、靴や手袋、洋服、といった、身にまとうものに使われやすいです。



合成繊維のスエードは、タペストリーなどの印刷物に使われやすいです。横断幕やテーブルクロスなどに使われる場合もあります。




スエードと混同されやすい生地3選
続いて、スエードと混同されやすいヌバック、ベロア、バックスキンとの違いについてご紹介します。
ヌバックは毛足が短くやわらかな素材
ヌバックとは、牛革をサンドペーパーなどで毛羽立たせた起毛皮革のことを指します。スエードは革の裏面を起毛させた生地ですが、ヌバックは革の表面を起毛させた生地です。スエードよりも毛足が短く、マットで柔らかい質感、厚めで丈夫という特徴があります。
財布やバッグなどの小物のほか、耐久性が高いことからスニーカーやブーツなどに用いられることも多い生地です。
ベロアは保湿性が高い素材
ベロアとは、牛や馬の革の裏側を起毛させた素材です。スエードが子羊や子牛、小山羊などの柔らかい革を使用するのに対し、ベロアは成長した牛や馬の革を使用します。元々の革が違うため、スエードよりも毛足が長く、丈夫で厚い素材に仕上がります。
ベロアは、耐久性の高さを活かしたアウトドアシューズのほか、かっちりとしたバッグや帽子に用いられることが多いです。
バックスキンは丈夫かつなめらかな素材
バックスキンとは、雄鹿の革の起毛皮革です。「バック」とは雄鹿を意味する「BUCK」に由来します。雄鹿革の表側をサンドペーパーなどで起毛させて仕上げた生地で、軽くて丈夫かつ通気性に優れています。
柔らかくしなやかで蒸れにくいことから、身に付けるアイテムに使用されることが多い生地です。例えば、手袋や帽子、ジャケットなどの衣料品にバックスキンが使用されやすいです。
スエード生地のお手入れ方法
最後に、スエード生地のメンテナンス方法についてお伝えします。
〇動物の革を使ったスエードのメンテナンス方法
天然のスエード生地は水に弱く、雨などで濡れた箇所がシミになってしまう可能性があるため、スエード素材に使用可能な防水スプレーや撥水スプレーを定期的にかけておきましょう。日常のお手入れの際は、ブラシを使って起毛に付着した汚れや埃をしっかり落とすことが大切です。ブラシで毛並みを整えることによって、スエードならではの風合いやツヤも保たれます。
一方で、摩擦によって表面が削れやすい点に注意が必要です。色落ちや色移りの原因になる上、ツヤや手触りが悪くなってしまうので、丁寧な取り扱いを心がけましょう。
カビを防ぐために湿度の高い場所での保管は避け、たまに風通しの良い場所で陰干しをすることをおすすめします。
〇ポリエステル素材のスエードのメンテナンス方法
洗濯タグを確認する必要がありますが、ポリエステル100%のスエード生地は基本的に水洗い可能です。印刷方法にもよりますが、タペストリーなどは手洗いをおすすめします。印刷の色落ちを防ぐため、生地が強く擦れないように優しく押し洗いを行い、陰干しで乾かしてください。
まとめ
スエード素材の概要から、天然素材のスエード・合成繊維で作られたスエードの特徴、スエードと混同されやすい素材との違い、スエード生地のお手入れ方法までご紹介しました。
動物の革で作られた天然素材のスエードと、ポリエステルやナイロンなどで作られた合成繊維のスエードは、それぞれ異なる特徴を持っています。加えて、スエードと混同されやすいヌバック、ベロア、バックスキンも、それぞれの特徴があり、用いられやすいアイテムも異なっています。特徴と違いを理解することで、用途にマッチした生地を選び、生地の風合いを長く楽しむことができるでしょう。
のぼり印刷.comでは、合成繊維のスエード生地などで制作いただけるタペストリーを取り扱っています。2枚のスエードの中に遮光材を入れた「遮光スエード」もありますので、ぜひチェックしてみてください。
