横断幕やタペストリーの生地で使われるターポリンとは?

横断幕やタペストリーなど幕系の商品を選んでいると生地の種類に「ターポリン」という聞きなれない言葉が出てきます。「ターポリン」とはいったいどんな生地なのでしょうか?この記事ではその特徴と用途について解説していきます。
ターポリンとはどんな生地?
ターポリンとは、ポリエステル繊維の布を柔らかい合成樹脂フィルムで挟んだ3層構造のビニール素材の生地のことをいいます。耐久性・耐水性に優れていて、横断幕、屋外テント、工事現場の養生シートなどによく使われます。身近なところでは防水バッグやポーチ、サイクルハウスなどにもターポリンが使われているものがあります。
ターポリンの特徴
<メリット>
・耐久性や耐水性が高い
ターポリンは丈夫な素材で耐久性・耐水性ともに優れているので、雨風や日光など屋外の環境下でも設置することができます。屋外に設置すると汚れが付着しやすいですが、生地の表面がビニール素材でできているので布やレザーに比べて汚れにくく、汚れても拭きとることで汚れが落ちやすいというメリットがあります。
・コストパフォーマンスが良い
ターポリンの交換目安は約1~3年※と言われています。一度購入すると長く使え、価格も安価なのでコストパフォーマンスが良い生地と言えるでしょう。
※設置場所や状況、加工方法により変動します。
<デメリット>
・生地が重い
ターポリンは生地の厚みがおよそ0.3mm〜0.5mmあり、1m2あたりの重さはおよそ380gになります。大型サイズで作ると生地本体の重さがkg単位になり持ち運びや移動が困難になるため、頻繁に付け外しをしたり設置場所を変えたりする使い方ではなく、同じ場所に長期間設置するのに向いています。
・風に煽られやすい
風を通さないターポリンは強風が吹くと煽られてしまうため、風が強く吹く場所へ設置する際はメッシュターポリン※がおすすめです。
※メッシュターポリンについては記事の後半で詳しく説明しています。
<その他の生地の違い>
横断幕などを作成する際にターポリンと並んで紹介されることの多い生地にトロマットがありますが、トロマットはポリエステル100%の布生地です。ターポリンよりも軽く持ち運びがしやすいのが特徴で、トロマットの耐久性は約1〜2年とターポリンに比べ短いです。屋内での使用や屋外の短期利用のときはトロマット、屋外の長期利用のときはターポリンがよく使われています。
分類
ターポリンは建築工事現場でも使用されますが、日本工業規格のJISA8952「建築工事用シート」によって1類と2類に分類されることが義務付けられています。
1類は2類よりも強度が高く、シート単体で落下物による危険防止の目的に利用できるもの。一方、2類はシート単体では強度が足りないため、シートと金網を併用して落下物による危険防止の目的で利用できるものとなります。
種類
ターポリンには多数の種類がありますので、一つ一つ説明していきます。
生地 | 特徴 | 画像 |
---|---|---|
ターポリン | ポリエステルの生地を合成樹脂フィルムで加工した一般的によく使われるターポリン生地です。写真や画像を印刷した際の色味も鮮やかで、生地自体に防炎加工も行われています。ターポリンの基本のような生地なので、場所や用途問わずさまざまな場所でに使われています。 | ![]() |
メッシュターポリン | ターポリンに細かく網目のある生地です。細かな穴が開いているので通常のターポリンより軽い上に風を通しやすいメリットがあります。ターポリンの特徴である耐久性や耐水性の機能を備えつつ通気性をあわせ持った生地で、建築工事中の高所や風の強い場所で使用されています。 | ![]() |
グロスターポリン | 光沢感はありつつテカリを抑えた加工になっているターポリン生地のため写真が鮮やかに印刷されやすく、視認性に優れています。写真の効果を最大限に活かしたい広告や店頭幕などに使用されています。 | ![]() |
遮光ターポリン | ターポリンとターポリンの間に黒い布が挟まった生地で、遮光性に優れているので裏面が透けない仕様です。表と裏に違ったデザインを印刷したい場合や、日差しの強い窓際の広告などに使用されています。 | ![]() |
ターポリン生地の用途
ターポリン生地の用途について説明します。
・横断幕や懸垂幕
横断幕は横長の幕であり、懸垂幕(たれ幕)は縦長の幕のことを指します。
横断幕はスポーツや学校の応援などでよく利用され、チームのロゴや選手名、メッセージなどを入れることが多いです。
懸垂幕(垂れ幕)は、ショッピングモールやビルなどの壁面にかけられ、セール情報の掲示やお店の看板として使われています。
スポーツの応援など屋外で使用することも多い横断幕や懸垂幕(垂れ幕)は、耐久性や耐水性が十分にあるターポリン生地や強風にも比較的耐えられるメッシュターポリンで作られることが多いです。
・店頭幕
店頭幕は、店舗の店先にお店の看板として、キッチンカーで販売している商品のメニュー表としてよく使われています。店頭幕は日よけのれんや日よけ幕としても呼ばれ、宣伝の他日よけ対策としても使用されています。特に耐久性に強いターポリンや発色のいいグロスターポリンで作られることが多いです。
・タペストリー
タペストリーは飲食店のメニュー案内や商業施設のイベント告知などで使用されています。遮光ターポリンであれば、屋外での広告として両面に印刷も可能なのでおすすめです。
ターポリン生地のお手入れ方法
ターポリン生地は洗濯機を使用することができないため、汚れが付いた場合は濡れたやわらかいタオルで拭くなどしてお手入れを行ってください。
力を入れてこすってしまうと剥がれの原因にもなるので、優しく落とすように注意してください。
また、シワを取りたい場合は紙管に巻いて長期間保管をすると、シワが伸びます。そのほか物干しざおなどにかけておくと重さでシワが伸びることもあります。巻いたりかけたりする際は、印刷面を内側にすると剥がれの予防にもなりますので、ぜひ試してみてください。
まとめ
横断幕やタペストリーでよく使用されるターポリンの生地の特徴を詳しく見てきました。
ターポリンは耐久性も耐水性も高く、屋外でも長年使用できますが、通常のターポリンは重いため長期間移動しない場所での使用がおすすめです。
風が強く吹く場所や少しでも重量を軽くしたい場合はメッシュターポリン、写真を印刷したい場合はグロスターポリン、両面異なる印刷をしたい場合は遮光ターポリンなど、ターポリンにも様々な種類があるので、目的や用途に応じて最適なターポリンを選ぶようにしましょう。